Conrad Seoul/コンラッド ソウル

全434室のコンラッド・ソウルは、市内の金融センターである汝矣島（ヨイド）中心部という一等地に建つ。汝矣島は韓江（ハンガン）の中洲で、観光客はおろか、地元の人でも銀行関係者以外は誰も気に留めないようなエリア。しかし、このホテルに惚れ込んだ私たちとしては、ソウル街歩きの絶好の拠点として是非おすすめしたい。市内を網羅する交通機関を駆使すれば、観光エリアへも容易にアクセスできるし、何といっても真下にある地下鉄駅には急行・金浦（キンポ）空港行き（金浦は仁川空港よりも市内へのアクセスが良い）の列車が停車する。

それでも、なぜ文化・観光スポットもない金融センターなんぞにあるホテルを敢えておすすめするのか？　その理由として挙げられるのはまず、コンラッド・ソウルの客室は恐らく市内ではベストだから。最低クラスの部屋でも48平米あり、広さ、内容ともにパーク・ハイアットの上をいっている。また、よりハイテクで行き届いた印象で、Apple社のマルチメディア・プラットフォームとネスプレッソのコーヒーメーカーを標準装備し、市内の景色と韓江を見下ろす大きな窓のそばには快適なソファが置かれている。パーク・ハイアットは部屋の広さが44平米からで、料金もコンラッド・ソウルの方がおしなべて安い。施設面でも、大型の窓のある25メートルの屋内プールや、ひとつの小隊が一度に訓練できるほどの数のランニングマシン、ステップマシンを備えたフィットネスセンターのあるコンラッド・ソウルに軍配が上がる。

大規模なホテルなので、チェックイン時には混雑もあり、朝食ビュッフェでは長い行列が出来ることも。 また、今どきのホテルとしては許しがたいことに、Wi-Fiは有料である（これを読まれたヒルトングループの方、どうかご一考を）。 ホテル内での食事は良い選択肢が揃っており、特に高級感漂う「37グリル・アンド・バー」では、ソウルでも指折りの上等なステーキと充実したワインリストを提供している。

間違っても、ラッシュ時間帯にタクシーで汝矣島の外に出掛けようなどとしないように。渋滞にはまるのが好きというなら止めないが、それは避けるべき。代わりにアジアでも最高水準の地下鉄ネットワークを利用したい。

ここはアジア、あるいは世界でも屈指のコンラッドだろう。私たちの選定基準に「多くのホテル・旅行業界関係者が口を揃えて勧める」というものがあるが、その点でも常にトップの一押しホテルだ。