デザイン重視派が気に入りそうなホテルとしては、セント・レジス（The St. Regis Bangkok）の脇道を入ったところにひっそりと建つハンサー（Hansar Bangkok Hotel）が挙げられる。因みに、セント・レジスを取り上げなかった理由は、行き過ぎたラグジュアリー感の主張に共感できなかったことと、食事や飲み物の価格が法外に高いことにある。同じくモダンデザインが特徴的なホテルとしては、メトロポリタン・バイ・コモ（Metropolitan by COMO, Bangkok）があり、こちらは旧ＹＭＣＡのビルを改装したホテル。ここの唯一の欠点は立地で、歩ける範囲にこれといったものがなく、スカイトレインの駅までかなり距離がある。近くに建つスコータイ（The Sukhothai Bangkok）も同じくその立地に難はあるものの、こちらはタイ色の濃いデザインのブティック・ラグジュアリー・ホテルという特筆すべき魅力がある。バンコクでも指折りのプールを持ち、コロニアル風の気品漂う６エーカーの広大な林を敷地としているところも優れている点だろう。

長期滞在や複数のベッドルームが必要な場合は、手堅いオリエンタル・レジデンス（Oriental Residence Bangkok／経営はマンダリン・オリエンタルと同じグループ）に泊まりたい。最後に紹介するバンコクでのとっておきは、サイアム・ホテル（The Siam）。世界有数の傑出したホテルといえるだろう。市の中心部を外れたチャオプラヤー川沿いに建つこの全39室のラグジュアリー・リゾートは、恐らくバンコクで最も宿泊料が高い。しかしそれでも２、３泊する価値は十二分にあるほど。このサイアム・ホテルには、現実とは思えない素晴らしさがある。

バンコクのホテル事情に詳しい方は、マンダリン・オリエンタル（Mandarin Oriental Bangkok）とルブア・アット・ステート・タワー（Lebua at State Tower）が入っていないことに気付かれたかもしれない。マンダリンはアジアのホテルの頂点に君臨する大御所的ホテルには違いないが、客室のスタイリングは時代掛かっていて、そのくせ室料は上がる一方。私たちはマンダリンより、川の対岸にあるペニンシュラを選ぶことを勧めたい。ペニンシュラ・ブランドのホテルの中で最高の出来というわけではないが、客室は素晴らしく、ここからの市内の眺めは最高だ。

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