28 Rue de l'Arc de Triomphe, 75017 Paris
ヒドゥンホテルは、シャンゼリゼ通りや凱旋門から歩いてすぐという好立地だが、その名の通りパリの喧噪から隠れてひっそりと佇んでいる。
このホテルのモットーは「尊い素材と職人の手仕事への愛と敬意」。それは館内を通じて見事に体現されている。贅沢な無垢材の羽目板やフローリング、家具、奇石を使った洗面器やバスタブ、そしてブレックファースト・ルームの中央(文字通り)に鎮座して威容を放つトネリコ材のテーブルなど、随所にそのこだわりが散りばめられているのだ。
ヒドゥンホテルに足を踏み入れること――それはまるで、心待ちにしていた、アート好きでデザインに夢中な友人の家に訪問する時のような高揚感を感じずにはいられない。
客室は「Intuition(直観)」「Emotion(感情)」「Sensation(感覚)」などの意表を突いたネーミングの等級付けがされている。いずれのクラスの部屋にも素晴らしい木製フローリング、透き通った薄地のレースカーテン、ココマット社製のココナツ繊維でできたベッドが備わり、居心地の良い事この上ない。質感と素材を大切にした室内を見ると、このホテルが予算を惜しむことなく設計・建造されたことがよく分かる。
ベル・エポックの名残のように設けられた、葉巻愛好家のためのスモーキングルームは、革張りの椅子にスチールと木材をふんだんに使った愛すべき空間だ。染みつく臭いを気にせずに済むなら、キューバ産の特製葉巻を一本燻らせつつ、充実したリストからラム酒かウイスキーを選んで一杯やるのもいい。
ビジネスホテルではないので、超高速Wi-Fiやモバイルオフィスに使えるスペースを期待してはいけない。ここにあるのは、パリへの理解を深め、似た考えを持つ他の客とふれあい、感覚を解放するのに相応しい隠れ家的な雰囲気だ。
17ユーロの朝食は高く思えるかもしれないが、ホテル内に溢れる職人技や素材・品質へのこだわりが食にも向けられているので、試しに一度は食べてみる価値があると思う。
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